2019年12月12日、アルジェリアは大統領選挙を行った。国営テレビは一部地域の長い投票列を放送した一方、首都では投票所へ人が少しずつ入る場所もあり、抗議者が投票所へ押し入れて約30分投票が止まった例も報じられた。つまり、この選挙を代表する一つの列は存在しない。待つ人のいる投票所、ほとんど空の投票所、投票を拒否する街頭が同じ日に並存した。
背景には、同年4月に長期政権のブーテフリカを退陣へ追い込んだ抗議運動ヒラクがある。軍は選挙を正常化への道と位置づけたが、抗議者の多くは旧支配層が残る限り正統性は得られないとしてボイコットを呼びかけた。この候補を「投票を待つ国民」の物語にまとめると、選挙参加を拒む行動が消える。長い列の映像が本物であっても、それだけで全国の熱意を証明しない。行列と空白の両方を残すことが、この選挙日の記録には必要である。
