2009年4月、モルドバの首都キシナウで、ルーマニア国籍の回復を求める人々が中央郵便局へ押し寄せた。現地紙『Timpul』は、何千人もの市民が毎日、ルーマニア領事館へ申請予約の手紙を送るため郵便局を訪れ、4月27日には中央郵便局1階が身動きできないほど混み合ったと報じている。領事館は郵送された順に申請を処理していたため、郵便窓口での順番が、その後の長い手続きの入口になった。
申請者が集めていたのは、出生や親族関係をたどる公文書だった。1918年から1940年にルーマニア領だった地域の元市民と子孫には、国籍を回復する道があったからである。2009年の制度緩和は、移動と就労の選択肢につながるルーマニア旅券への期待を一気に窓口へ集めた。ここで待たれていたのは一通の手紙を出す番だったが、その順番は国境を越える将来へ続いていた。
