インドネシアでメッカ巡礼のハッジを希望する人にとって、待つことは空港や聖地の入口で始まるとは限らない。登録の時点から、割当枠と出発予定年をめぐる長い時間が始まる。宗教的に重要な旅が、行政上は定員と順番の問題にもなる。インドネシアのハッジ関連公式情報には、地域別の待機状況を示す仕組みがある。
この「列」には、街角で目にする行列と決定的な違いがある。並ぶ人が同じ場所に立っているわけではなく、順番は名簿や登録記録に表れる。待機年数は地域や時期、制度の変更によって異なり、一つの数字を国全体に当てはめることはできない。公式サイトの表示を確認した日付なしに「何十年待ち」と断定するのも避けたい。
長い順番を単に非効率と呼ぶこともできない。ハッジには宗教的な意義があり、受入人数には現実的な制約がある。一方で、待つ間に人は年を重ね、家族の事情や健康状態も変わる。目に見えない列だからこそ、その重さを想像しにくい。行列とは必ずしも、後ろの人の背中を見ることではない。自分の名前が呼ばれる未来を、生活の中に置いておくことでもある。
この列では前の人の背中は見えず、順番は登録年と地域別割当の数字でしか分からない。ハッジへの距離はキロメートルより、予定出発年までの年月で測られている。
