南アフリカの難民受付事務所から数ブロック離れた屋外には、申請者が建物へ入る前に並ばされる「ブッシュ」と呼ばれる場所があった。2010年の民族誌は、日によって約1,000人が列をつくったり周囲に集まったりし、職員が国籍別の列から一定人数を建物へ連れて行く運用を記録する。ある日、職員は突然、旅券がなければ入館に必要なフォルダーを渡さないと告げた。旅券のコピーしかないパキスタン人が質問すると、コピーを押し返され、列へ戻るよう命じられた。この条件は、短い列へ別国籍の人が入るのを防ぐため、その日に現場職員が作ったものだったという。待つ順序は公式規則だけで決まらず、建物の狭さと現場の即席判断によって変わった。列は行政への入口であると同時に、規則を知らされない申請者を排除しうる装置だった。