2007年6月、ワシントン旅券局の開庁前に約200人が集まり、予約者、議員の紹介状を持つ人、予約のない人という三つの列に分かれた。その日の来訪者は約625人。全員の出発予定は三日以内だった。カナダ、メキシコ、カリブ海方面への空路にも旅券を求める新規則で申請が急増し、通常4〜6週間だった発給待ちは12週間以上に伸びた。午前4時半から並んだ家族、7時間運転して誤植訂正に来た学生、子どもの旅券を待ちながら列車の時刻を気にする父親を、記事は分刻みで追う。建物内でも受付、番号呼出し、発給という待機が重なり、掲示された39分や71分の「推定待ち時間」には屋外待機が含まれなかった。ここでは列が一本の公平な順番を作るのではなく、予約や政治家の紹介状の有無によって、緊急性を別々の経路へ振り分けていた。