東京ビッグサイトで開かれるコミックマーケットでは、入場待機列そのものが公式案内の一部になっている。コミックマーケット107の海外参加者向け案内は、午前入場用リストバンドを着けてから、東または西の待機列へ並ぶよう指定した。会場図にも二つの列と、その末尾の位置によって変わる迂回経路が描かれている。

主催者が扱うのは、ただ「先着順」を守らせることではない。早期入場券、午前リストバンド、午後入場という券種ごとに入口と時間を分け、QRコードからリストバンドへ交換する人は午前8時以降に別地点を通る。夏は酷暑の中で数時間待つ可能性があるため早すぎる到着を避けるよう勧め、会場周辺での徹夜待機は安全と近隣への影響から全面的に禁止する。徹夜しても朝来た人より有利にはならない、とまで明記している。

ここでは列がイベントの外側に偶然できるのではない。券、地図、入口、時刻、スタッフの誘導を組み合わせて、巨大な群衆を一時的な順番へ変換している。並ぶ自由と並んではならない時間を同時に定めることが、会場を開く条件になっている。