ケニアの乗合車マタトゥでは、時刻表ではなく満席が出発の合図になることがある。国際的なマイクロファイナンス団体Kivaの現地スタッフは2014年、ナイロビで車内に乗り込み、全席が埋まって発車できるまで待った体験を記録した。車は目の前にあり、席も確保している。それでも、最後の乗客が来るまで旅は始まらない。

この待ち方は、乗客と運転側の計算を同じ車内に閉じ込める。先に乗った人は座席を得る代わりに、空席が埋まる時間を引き受ける。運転手や車掌にとっては、一便の運賃収入と燃料費がかかる。利用者は時計ではなく、残った席の数を見ながら出発を予想する。

すべてのマタトゥが同じ方式で走るわけではなく、路線や事業者で運用は異なる。それでも、この記録が示す行列は明快だ。乗客は一本の線に立つだけでなく、車内の席そのものに順番を置く。最後の一人が乗った瞬間、ばらばらだった待ち時間が全員の出発へ変わる。