2012年9月、南アフリカ政府は住民登録をめぐる文章で、内務省の列に立つことは単なる行政上の問題ではなく「権利の問題」だと記した。出生証明書、身分証、婚姻証明書、死亡証明書は、銀行口座や運転免許だけでなく、相続、児童保護、早婚の防止にも使われる。列の先で得る一枚が、その人の法的な存在を社会制度へ接続する。
同じ文章は当時、アフリカ54か国の代表がダーバンに集まり住民登録制度を協議したこと、一部の国では出生登録率が30%にも届かず、人口の70%が制度から見えない可能性を指摘する。窓口の待ち時間だけを短縮すれば済む話ではない。登録できる人、できない人の差が、教育、医療、相続など次の入口を左右するため、この行列では順番を得ること自体が権利への最初の足場になる。
