ネパールでは、海外就労へ出発する労働者が労働許可を得るため、オンラインで番号札を取り、処理の順番を待つ仕組みが使われていた。2026年、政府はこのトークン制度を廃止し、申請を順次処理する「queue-free」の運用へ切り替えた。許可が間に合わず、査証を取得済みでも航空便を延期する人がいたことが、制度変更の背景にあった。

この待機は、建物の外に伸びる列だけではない。番号札が画面上へ移っても、出発できるかどうかは処理順位に左右される。仲介業者が番号の確保へ介入する余地も生まれ、政府は手続きの監視と職員増員を進めた。

海外就労は、求人、査証、航空券だけで完成しない。最後の許可が遅れれば、国境を越える予定そのものが止まる。この事例の面白さは、列をなくす政策が、列の存在を最もはっきり記録していることだ。待機は窓口からオンラインへ移り、改革によって初めて制度の中心問題として可視化された。