スーダンからチャドへ逃れた人々が、移住先のキャンプへ向かうトラックに乗る前に、生体認証登録の列をつくった。UNHCRが2025年に公表した現地報告の写真には、少女が虹彩スキャナーに目を向け、その後ろでほかの避難者が順番を待つ様子が記録されている。登録後、人々は荷物とともに車両へ乗り、東部の居住地へ移送された。

この列は、国境を越えれば避難が終わるわけではないことを示す。UNHCRとチャド当局は、到着者を把握し、保護と支援を個人へ結びつけるため登録を行う。虹彩という身体情報は、名前や書類を失った場合にも一人の記録を重複なく保つ助けになる一方、紛争から逃れた人は、住まいへ移る前に撮影・登録という制度上の関門を通る。

待機の先にあったのは、単なるカードではなく、トラックの座席と、援助へつながる居住地だった。病人、障害のある人、高齢者などは小型車で運ばれ、その他の家族は荷物とともにトラックを待ったという。この行列の固有性は、本人確認と移動が一つの工程に組み込まれていた点にある。並ぶ順序が、避難者を匿名の群衆から、支援制度が認識する個人へ変えていった。