子どもの出生を登録する。言葉にすれば一行で済む手続きだが、親の国籍や身分を証明する書類が揃わない場合、その一行は簡単には書き込まれない。無国籍の子どもをめぐる問題では、出生という動かしようのない事実と、国家が認める法的な身分の間に距離が生まれる。

出生登録と国籍の取得は同じ手続きではない。出生証明書を持っていても国籍が確定するとは限らず、逆に登録が遅れれば就学や医療などで本人確認が難しくなることもある。窓口で何を求められるかは国や制度によって異なるため、ひとつの経験をすべての家族に当てはめることはできない。

この候補について、特定の窓口に実際に列ができたという一次資料はまだ確認できていない。行列の図鑑に載せるなら、待っていた家族の記録が必要だ。それでも、紙に記されるまで社会から見えにくい子どもがいる、という問いは残る。