2021年8月、タリバンが政権を掌握した直後のカブールでは、閉鎖されていた銀行が再開すると、現金を引き出そうとする人びとが数百人規模で集まった。アルジャジーラは、ATMから金を受け取る順番を待つ人びとの写真を掲載し、ある利用者が自分の口座から引き出すまで4時間並んだと報じた。
列を生んだのは、預金がないことではなく、預金に触れられないことだった。銀行は一週間余り閉まり、再開後も現金不足と引き出し制限が続いた。日々の買い物に現金が必要な社会で、口座残高と手元の生活費の間に、銀行の扉と長い待ち時間が挟まった。
この列は新商品や配給を待つ列とは違う。人びとが求めたのは、すでに自分に属していた金だった。順番が進んでも、銀行に現金が残っている保証はない。金融制度の危機が、抽象的な数字ではなく、ATMの前で何時間も待つ身体的な経験になった瞬間である。
