2014年6月、ナッソーのトンプソン・ブールバード旅券事務所前で、申請者が何時間も待った。現地紙トリビューンが正午ごろ到着すると、約50人が建物外の簡易テントに集まり、日陰に入れない人もいた。整理された一列も番号札もなく、警備員が扉を開けると、時には2、3人だけが中へ通された。

一か月の娘の初めての旅券を申請しようとしたペリー・ジョンソンは二日目の挑戦だった。前回は前へ進めず、子どもを抱えているため人を押しのけることもできなかった。午前9時に来た別の申請者は、後から到着した人が先に入る状況を語った。待ち時間の長さだけでなく、「誰が次か」を決める仕組みがないことが負担を増やした。

政府は、手書き旅券から電子旅券への交換需要と夏の旅行シーズンが重なったと説明した。通常4週間だった待ち期間は6週間に延び、応援職員と二交代制が検討された。緊急の医療上の事情には別手続きがあるとも案内された。

この列で不足していたのは椅子や窓口だけではない。到着順を保存する番号だった。番号札があれば身体は列を離れても順番を保てるが、番号がなければその場に立ち続け、扉が開く瞬間に位置を守らなければならない。旅券を発行する行政制度の前に、順番を発行する制度が欠けていた。 しかも申請書を提出する日の列と、完成した旅券を受け取るまでの数週間は別の待ちである。屋外の混乱が解消しても発給期間は残る。ひとつの旅券には、身体で待つ時間と書類が処理される時間が重なっていた。