南部アフリカのレソトで、旅券を更新するための待ち時間は、仕事に戻れる日を左右していた。2025年末から2026年初めにかけて、南アフリカで働く人々が年末休暇に帰国し、内務省の窓口へ殺到した。モハレス・フークの旅券事務所では、午前2時半には名簿に約30人の名前があり、前日の午後7時から来ていた人もいた。受付が始まるのは午前8時。列は業務時間よりずっと前に始まっていた。

現地取材によれば、ヨハネスブルクで家事労働者として働く女性は、クリスマスイブにも来たが手続きできず、再び夜中過ぎに並んだ。しかも旅券を申請する前に、期限切れの国民IDカードを更新しなければならないという。IDができても、さらに24時間待ってから旅券を申請するよう案内された。窓口で順番が来ても、すぐ旅券が手に入るとは限らない。

レソトでは2013年に導入が始まった国民IDの有効期間が10年で、更新時期が重なったことも混雑の背景にある。モハレス・フークは他地区に配る旅券を作製する拠点でもあり、作業が集中した。南アフリカでの勤め先に戻らなければ収入を失う人にとって、待機は単なる事務手続きではなかった。

政府は窓口の時間延長や週末の開庁で対応した。一方、手続きが間に合わず、危険な川越えで南アフリカへ戻る人々も取材で記録された。旅券の列と国境の川は別の場所にある。それでも、一方で順番が来なければ、もう一方で危険な選択を迫られる。紙の書類を待つ時間は、働く場所へ戻るための道そのものを変えていた。

午前2時半の名簿と午前8時の開庁時刻の間には、行政が数えない五時間半がある。越境労働者にとって、その時間は旅券手続きではなく、職場へ戻れるかどうかを左右する労働時間だった。

現地報道は、モハレスフークの旅券事務所で午前2時30分に名簿が約30人へ達し、前夜7時から来た人もいたと記録する。窓口開始は午前8時。ID更新後さらに24時間待たなければ旅券申請ができない場合もあり、一つの列が次の待機を生んでいた。