ギリシャの島へ車で渡るとき、フェリーの列は船内ではなく港の待機区画から始まる。運航会社の規約では、車両の積み込み順は港湾当局の指示で決まり、乗客は早めに到着して乗船券、身分証、車両書類を示す。運転者は車を所定の位置へ置き、係員の合図まで周辺で待つ。
車両甲板は大きさの違う車を限られた空間へ詰めるため、単純な先着順ではない。トラック、乗用車、二輪車を安全に配置し、寄港地ごとの下船順も考える必要がある。早く来た車が必ず最初に船へ入るとは限らず、列は順番というより積載計画の材料になる。
人だけの列なら、前後を詰めればよい。車の列では、一台を動かすたびに運転者が必要で、置いた車がそのまま場所を保持する。港の待機区画は駐車場に見えるが、実際には船の内部配置を陸上で準備する、平面に広がった行列である。
この行列を特徴づけるのは、入口と出口の間に複数の判断があることだ。到着順を守るだけなら一本の線で足りるが、確認、分類、割当てが加わると列は行政や運営の工程表になる。人々は前へ進むと同時に、制度が読める形へ変換されていく。
