2020年、シエラレオネの首都フリータウンで、母親と子どもたちが予防接種を求めて数時間並ぶ列が記録された。地域住民が写真を撮り、その意味を話し合う「フォトボイス」調査の図6には、長い母子の列と「何時間もワクチンを待っている」という参加者の説明がある。
対象となったのは、2015年に定期接種へ導入された麻疹含有ワクチンの2回目など、小児予防接種へのアクセスだった。施設側が接種を始める最低人数が集まるまで待つ場合や、職員が別業務へ向かう場合があり、待合室の換気不足も負担を増やした。長く待った末に在庫切れで帰されることもあった。
調査には、15~24か月の子どもの養育者11人と医療従事者6人が参加した。母親は家事や収入を得る仕事も担い、数時間の待機は単なる不便ではなく、次回の接種をためらう理由になった。列の長さは需要の強さだけを示さない。少人数の職員、開封・実施の運用、在庫、待合環境が同じ場所で重なり、無料のワクチンと実際の接種の間に時間の費用をつくっていた。
