モロッコの伝統的な共同浴場ハマムでは、入浴者が同じ熱源と水場を分け合う。ロクサーヌ・ブレイムによる2018年のワシントン大学博士論文は、女性たちが大釜(brma)の周囲に集まり、湯が放出されるのを待った場面を記録している。湯をすくう自分の番をめぐり、言い争いになることもあったという。

これは入口から窓口へ伸びる一直線の列ではない。限られた湯を同じ空間で使うための、身体の近くにある順番待ちだった。洗うという私的な行為も、共同浴場では他者の時間と結びつく。異なる暮らしの中でも、共有物を前に自分の番を待つ感覚はよく似ている。本稿は論文が記録した女性浴場の湯の順番に限り、施術一般の待機までは断定しない。