1970年の大阪万博で、アメリカ館の月の石は最も人気のある展示の一つになった。大阪府の商店街記録に登場する来場者は、2歳の娘をバギーに乗せ、1〜2時間の列を経てようやく石を見た。当時の報道には4時間以上待った例もあり、後年の本人証言にも3時間並んだ記憶が残る。

この列の固有性は、人類が月から持ち帰った小さな物体を自分の目で確かめるため、展示を見る時間よりはるかに長く待ったことにある。宇宙開発という遠大な出来事は、万博会場では一人ずつ前へ進む身体的な順番に変換された。