2007年9月14日、英国の住宅金融会社ノーザン・ロックの支店前に預金者が並んだ。前日、同社がイングランド銀行から緊急支援を受けることが報じられたためだ。英議会の後日の報告書は、この公表を取り付けの始点として記録する。ガーディアン紙はロンドンのハウンズディッチで午前8時から10時30分まで待った客や、リーズ支店のおよそ100人の列を伝えた。

人々が待っていたのは、新商品でも高利回りでもない。自分名義の預金を現金または別口座へ移す窓口だった。銀行は通常、すべての預金を同時に現金で返せる形では保有しない。だから不安が集中すると、支店の窓口数という物理的な限界が金融機関への信頼を目に見える列へ変える。電話やオンライン取引が普及した時代にも、支店前へ人が集まったことがこの出来事の異例さだった。

政府はのちに預金保護を表明し、混乱を収めようとした。だが保証の言葉が届くまで、預金者にとって残高は画面上の数字にすぎない。列の前方へ進み、手続きが終わった時だけ、それを自分の管理下へ戻せた。英国で長く見られなかった銀行取り付けは、信用という見えない仕組みが、歩道上の人数と営業時間に変換される瞬間を残した。