インドネシア・バリ島のティルタ・ウンプル寺院では、参拝者が沐浴池の中で列をつくる。2016年の現地記事は、池に並ぶ来訪者を写真で記録し、宗教儀礼の日には長い待ち列ができると伝えた。人々が待つのは建物への入場ではない。聖なる泉から引かれた噴水の下へ一人ずつ進み、水を浴びて身を清める「ムルカット」の順番である。

寺院には沐浴用の池が二つあり、並んだ噴水はすべて同じ役割ではない。祈りや浄化に使うものがある一方、死者に関わる儀礼のための噴水もあり、参拝者は意味を確かめながら進む必要がある。供物を用意し、腰布を着け、池へ入って順番を待つ。2024年には、順番を追い越そうとした外国人観光客をめぐる口論まで報じられた。

この列を特徴づけるのは、最前列へ着けば終わるのではなく、複数の水口を一つずつ移動する点だ。待機と儀礼が交互に繰り返されるため、列の秩序は単なる混雑整理ではない。誰が次に聖水を受けるかを共有することが、限られた水口を多くの参拝者で使うための作法になっている。