ハノイのトーニュオム通り57番地には、家の奥へ続く狭い通路を厨房にしたおこわ店がある。歩道の席は約15人分。午前8時ごろに客が集中し、席が足りず持ち帰る人も多く、ときには長く並ぶ。注文後の盛り付け自体は約一分だが、限られた空間が順番をつくる。
店は1988年に母のトゥさんが始め、現在は娘のフオンさんと兄、娘、孫が仕事を継ぐ。朝4時から炊き始め、毎朝おこわを4、5蒸籠、肉を20キロ用意する。以前は注文ごとに蒸していたが、客が増え、間に合わないため作り置きへ変えた。営業は午前6〜10時の四時間、価格は2万5,000〜4万5,000ドン。列のボトルネックは調理速度だけでなく、家業の住所とレシピを動かさないという選択だった。
