2022年6月、フランス東部ルミルモンの環状交差点沿いで、チェーン系ベーカリーAngeの客が列をつくっていた。ル・モンドの現地取材は、95ユーロセントのバゲットが四本まとめると一本71セント、八本なら62セント相当になる販売策を、列にいた客の買い方とともに記録する。店舗には駐車場とオンライン注文受取コーナーがあり、一日700〜800人が訪れた。
フランスのパンの列だが、舞台は昔ながらの街角ではなく、自動車で立ち寄る郊外型店舗である。値引きは客に必要本数以上のまとめ買いを促し、冷凍して使う生活に合わせる。150メートル先には個人経営のパン店があり、双方が品質と価格を競っていた。行列が示すのはパン不足ではなく、日常食を工業的な販売設計で大量に買う新しい習慣だった。
