フィジー最大の島ビチレブ島、タイレブ州ナタドラダベ村へ向かう未舗装路では、夜明け前から人と車の列ができた。目的地は、2016年に「病を癒やす」と評判になった泉である。人口はわずか27家族ほどの村だが、記事が伝えた最盛期には昼夜を問わず数千人が訪れ、列は数キロに及んだ。到着者は無秩序に水へ殺到するのではない。まず救急車や担架の患者、次に歩ける病人、その後に健康な採水者という順で案内された。浅い池には二本のコンクリート管が引かれ、別の塩ビ管から容器へ水を汲めるようにした。

急増した来訪者に対し、政府はコンクリート通路、トイレ、携帯電話塔を整え、道路も改良した。村人は料金を取らず、食料の寄付を受け入れた。一方、治癒効果は科学的に証明されず、専門家は慎重な見方を示した。それでも水は国外まで運ばれ、2016年から翌年5月までにニュージーランド税関で500人超がボトルを止められたという。二つの管の前に生まれた順番は、信仰だけでは説明しきれない。評判、病、交通、衛生、国境管理までを、27家族の村に一度に引き寄せた列だった。