19世紀のカイロでパンの配給や施しがあったという候補は、都市の食料供給と慈善を考える入口になる。ただし、原票にある「都市慈善の配分秩序」という言葉だけでは、誰がどこで列を作ったかは分からない。パンが配られた事実と、パンを求める行列の記録は分けて扱う必要がある。

食料の配分には、必要とする人の数だけでなく、資金、調達、配る場所、受給資格といった条件が関わる。慈善を担う宗教施設や寄進の仕組みを調べる際にも、特定の施設の慣行を都市全体の習慣に広げてはいけない。空腹という切実な問題ほど、物語を安易に美しく整えない姿勢が要る。

この候補に必要なのは、当時の記録に残る具体的な配給の場面だ。最後尾が見つかるまでは、パンを受け取った人の気持ちも、列の長さも書き足さない。