2001年12月31日、ブエノスアイレスの銀行前で、住民たちは現金を引き出すために入店の番を待っていた。ロイター写真の説明は、列の場所、日付、目的を一つの記録に結びつけている。銀行は午前10時から午後8時まで営業する予定だった。年末の長い営業時間は便利さのためではなく、経済危機と政治の混乱のなかで、預金者の怒りを和らげようとする措置だった。
同月初め、政府は銀行から引き出せる現金を制限した。この措置は「コラリート」と呼ばれた。イェール大学の金融危機研究は、11月末に預金流出が急加速し、12月1日の政令が当座性預金の引き出しを90日間制限した経緯を整理している。口座に残高があっても、必要なときに自由に現金へ替えられない。銀行の入口へ続く列は、単なる窓口の混雑ではなく、預金者が自分のお金に近づくための順番だった。
写真が撮られた前夜には暫定大統領が辞任し、政治の先行きも定まっていなかった。列の一人ひとりが抱えていた事情は写真説明だけでは分からない。それでも、現金を求めて並んだという事実は明確である。いつもなら預けたお金を受け取るだけの手続きが、危機のなかでは生活を守るための待ち時間になる。違う世界でも、自分の番を待つ姿は見覚えがある。しかし、その列が映すのは、金融制度への信頼が揺らいだとき、日常の手続きがどれほど重いものへ変わるかということだ。
