1973年11月24日、東京・赤羽のスーパーマーケットでは、開店前から砂糖、洗剤、トイレットペーパーを求める人が並び、その数は多い時で約100人に達した。朝日新聞の写真アーカイブを紹介するwithnewsの記事は、警備員が列を整理する写真とともに、この具体的な日時と場所を記録している。

石油危機とトイレットペーパー不足は、原料が単純に同じだから起きたわけではない。価格上昇や供給への不安が報道や口コミを通じて日用品へ集中し、買いだめが空の棚を生み、その棚がさらに不安を強めた。列は不足の結果であると同時に、不足が来るという予感を目に見える形にするものだった。

この行列の面白さは、商品そのものより情報の速度にある。まだ買えるうちに買おうとする合理的な判断が一斉に重なると、個々の備えが社会全体の品薄を加速する。百人ほどの開店待ちは、経済危機が家庭の収納棚まで届く瞬間を写している。