1998年1月、韓国の銀行には指輪やネックレス、記念メダルを手にした人々が列をつくった。前年末の通貨危機で韓国は国際通貨基金(IMF)の緊急支援を受けており、市民が手持ちの金を差し出して外貨獲得を助ける全国運動が始まったからだ。ロイターは運動開始から数日後、月曜に4万5千人、火曜に8万8500人が参加し、すでに17トンが集まったと報じた。

この列の珍しさは、買うためでも給付を受けるためでもなく、家の中の価値を国の決済力へ変えるために並んだことにある。金は重量を量られ、純度を確かめられ、輸出可能な資産へ組み替えられた。銀行の窓口は、私的な装身具と国家規模の金融危機が直接接触する場所になった。

参加者全員の動機を愛国心だけで説明することはできない。それでも、順番を待って一品ずつ差し出す光景は、抽象的な外貨不足を、家庭の指輪やネックレスという具体物に翻訳した。世界の多くの金融危機では銀行から現金を引き出す列が生まれるが、ここでは反対に、人々が価値あるものを銀行へ持ち込んだ。