2020年9月、マレーシアのクアラルンプール大司教区が移民家庭へ食料を配ったとき、受給者は間隔を空けて列をつくった。カトリック系媒体の記録には、移民が食料支援を受け取るために並ぶ写真と説明が残る。配布先は102世帯で、一包みはおよそ二週間をしのぐ量とされた。

感染症対策の移動制限は、収入が不安定な移民の暮らしをさらに狭めた。食料を求める列でありながら、人と人との距離を保つこと自体も安全の条件になる。配布する側は品物だけでなく、受け渡しの順序と空間を整えなければならなかった。

この列で手渡されるのは一食ではない。次の二週間をつなぐ時間である。国境を越えて働く人々が都市の移動制限のなかで並ぶ姿は、緊急支援が世帯単位の日常へ届く最後の数メートルを示している。