2018年8月、スーダンの首都ハルツームに隣接するオムドゥルマン。バネト地区のモダン・ベーカリー前には、数十人の長い列ができていた。ロイターの取材に応じた日雇い労働者アブドゥラ・マフムードは、朝から二時間並んでもパンを手にできていないと話した。女性の列にいたファティマ・ヤシンも、パンがなく、生活必需品は高いと訴えた。同様の列は首都周辺の別の都市でも確認された。
原因は、単に小麦が足りないという話ではなかった。2011年に南スーダンが分離した際、スーダンは石油生産の約4分の3を失い、輸入に使う外貨が細った。通貨切り下げ後はドルの闇市場が公式な金融制度を事実上のみ込み、民間の小麦輸入業者は高い闇レートで外貨を調達する一方、政府が定めた価格で小麦粉を売るよう求められた。採算が合わず、パン屋へ届く粉が止まったのである。取材時、ハルツームのある店主は月曜から小麦粉を受け取れず、営業を停止したと述べている。
スーダンは2017年に小麦200万トンを輸入したが、国内生産は44万5千トンだった。パン一個を渡す店頭の手順は単純でも、その背後には石油収入、為替、輸入決済、政府価格という長い連鎖がある。モダン・ベーカリー前の列は、その連鎖が最後に切れた場所だった。 1月には補助金廃止でパン価格が倍になり、抗議も起きていた。8月の取材時には同じ規模の抗議は確認されなかったが、価格政策と供給不足が別々の問題ではないことを、店先の列が示していた。
