パキスタン・ハイデラバードのボンベイ・ベーカリーでは、季節を問わず客と車の列ができる。2024年の現地取材は、5、6月の約45.5度の暑さでも冬でも列が絶えず、手作りのケーキが数時間で売り切れると記録した。1911年創業、1922年から現在の赤レンガの建物で営業し、チョコレート、コーヒー、アーモンド・マカロンの三種が中心である。生産量を品質維持のため意図的に限り、転売対策として客一人あたり2〜4個に制限する。遅れて好みの品を買えなかった親子もいれば、複数人で来て贈答用を確保する客もいる。この列の固有性は、機械化して供給を増やすのではなく、味を守るための少量生産が毎日の順番を作っている点にある。待つ時間と売り切れの危険までが、百年以上続く店の買い物に組み込まれている。