インド南部ケララ州のヴィペーン島では、夜明けに漁船が私設港へ重なるように接岸し、最初のエビが整然と小山に分けられて競りにかけられる。現地ルポは、競り人の早口の数字に買い手が集まり、エビ、イワシ、イトヨリ、サバ、マグロ、イカが次々に売れる一方、延縄船セント・ニコラス号が自分の番を辛抱強く待つと記す。小魚が競り場から片付いた後、キハダマグロ、最後に約20キロのバショウカジキが一尾ずつ鉤で引き出された。この待機の固有性は、客が窓口の前に並ぶのではなく、船と漁獲物が競り場の空間を共有するため、水揚げの順序そのものが列になる点にある。鮮度が価値を左右す市場で、待つ主体は乗組員だけでなく、まだ船倉にある魚でもある。