2025年8月、ペルー南部のアンデス都市アレキパで開かれた「チチャ祭」では、料理を受け取る前に、まず一か所だけの販売所で食券を買わなければならなかった。国営通信社アンディーナは、そのため来場者が長い列をつくり、食券を手にしてから各屋台へ料理を受け取りに向かったと報じている。何を待ち、どこで支払い、どこで受け取るのかが分かれた二段階の順番だった。
チチャはトウモロコシを原料とする飲み物で、アレキパの食文化と結び付いてきた。祭りには家族連れや高齢者も訪れたが、会場には例年のような飲食用のテーブルがなく、来場者から不満が出た。そこへ食券窓口の一か所集中が重なり、料理そのものより前に、購入権を示す小さな紙を待つ時間が伸びた。
この列が教えるのは、食事の待ち時間が調理速度だけで決まるわけではないということだ。支払いの入口が一つなら、複数の屋台があっても人の流れはそこで絞られる。家族と郷土料理を楽しみに来た人々が、まず同じ窓口の前で自分の番を待つ。違う祭り、違う味であっても、入口の設計が列を生むという経験は、多くの場所で共有されている。
