2020年3月初め、韓国では公的流通ルートでマスクを買おうとする人々が、何時間も長い列に並んでいた。新型コロナウイルスの感染拡大で需要が供給を大きく上回り、政府が生産量の半分を公的機関経由に振り向けても、店頭の不足は解消しなかった。聯合ニュースは3月5日、こうした列と苦情を伝え、政府が重複購入を防ぐ電算システムを導入すると報じた。

その後始まった配給制度では、薬局が主要な販売窓口になった。購入できる曜日を出生年の下一桁で分け、身分確認によって同じ人が複数の薬局で買うことを防ぐ仕組みだった。週の購入上限は当初2枚で、供給が増えるにつれて10枚まで引き上げられた。価格は一枚1,500ウォン。列は早い者勝ちだけでなく、曜日、本人確認、購入履歴という情報処理に置き換えられていった。

制度は約4か月続き、7月12日に終了した。聯合ニュースによれば、終了までの137日間、全国の薬局が公的供給の要になり、6月第1週以降の週間生産量は1億枚を超えた。マスクを買う行列を短くしたのは、単に在庫が増えたからだけではない。誰が、いつ、何枚買えるかを全国で共有したことで、店ごとの列が同じ購入者を繰り返し受け入れる問題を抑えた。待機列の管理が、足元の整理からデータベースの設計へ移った事例である。 政府は輸出を原則禁止し、医療・防疫・安全分野へ優先配分したうえで、残りを市民へ公平に回す方針を示した。薬局は単なる販売店ではなく、国家の配給網の末端として本人確認と在庫配分を同時に担った。