2022年6月27日、スリランカのコロンボでは、燃料を待つ人々に空軍の隊員が番号札を配っていた。ロイターの報道写真には、その場面が残されている。給油所の行列なら、順番が来れば燃料を買えるはずだ。しかしこの時期、番号札は「確実に買える」という約束ではなかった。列を維持し、順番を示すための手がかりだった。

背景にあったのは、深刻な外貨不足と輸入品の決済難である。燃料は海外から買う必要があるのに、その支払いに使う外貨が乏しくなった。政府はコロンボの学校を閉鎖し、公務員に在宅勤務を求めるなど、燃料消費を抑えようとしていた。燃料が不足すると、移動だけではなく仕事、通学、食料の輸送まで影響を受ける。

6月27日のロイター報道は、数日以内に燃料が底をつく恐れがあると伝えた。給油のための列は、単なる『人気の集中』ではない。必要なものの供給が、日常生活を動かす人々の需要に追いつかなくなったときに生まれた列だ。待つ時間の長さを競う話にしてしまうと、なぜ人々がそこを離れられなかったのかが見えなくなる。

多くの行列では、整理券は秩序の象徴になる。けれども品物そのものが足りないとき、整理券が示せるのは順番までだ。タンクに入る燃料の量を増やすことはできない。コロンボの番号札は、『誰が先か』という問題と『そもそも全員に行き渡るのか』という問題が別々であることを浮かび上がらせた。

トークンは燃料そのものではなく、再び戻ってくる権利を配った。在庫のない給油所で順番を番号へ移すことで、車列を道路から未来の日付へ移動させた。