2023年7月、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が公開した写真には、トーゴ北部のダパオンで、新たに到着したブルキナファソ出身の避難者たちが登録を待つ列が写っている。机に向かう係員の前で人々が待つ。ここで必要なのは、チケットでも、話題の店の料理でもない。自分がここにいることを確かに記録してもらうことだ。

ブルキナファソでは武装勢力による暴力と不安定な治安が住民の移動を強いていた。隣国トーゴなどへ逃れた人々を受け入れる際、行政とUNHCRは登録を進めていた。写真が直接示すのはダパオンの登録待ちであって、列に並ぶすべての人の個別事情ではない。見知らぬ人々の苦難を、ひとつの感動的な物語にまとめてしまうことはできない。

登録とは名前を聞いて書き取るだけの作業ではない。支援を届けるために、誰がどこにいて、どのような保護を必要としているかを把握する入口となる。同時に、登録だけですべての安全が保証されるわけでもない。受け入れる町には、学校や水、保健サービスなど、もともと住んでいた人々と新しく来た人々の双方を支える仕組みが必要になる。UNHCRの記事も、受け入れ地域への支援を重視していた。

国境の線は地図では細い。しかし越えた後の暮らしは、細い一本線で済まない。ダパオンの写真に残る行列は、「到着」と「安心して暮らせること」のあいだに、幾つもの手続きと人々の仕事があることを教える。

国境を越えたことだけでは保護の手続きは始まらない。登録列の先で名前が記録されて初めて、避難してきた一人が支援制度の対象として数えられた。