2017年3月3日、Nintendo Switchが発売され、日本の量販店には開店前から購入客が並んだ。ITmediaの発売日報道は店頭の列を記録し、任天堂も後に、発売当初から国内市場全体で品薄が続いたと告知した。据え置き機としてテレビにつなぎ、持ち出せば携帯機にもなる製品を、人々はまず動かない列の中で待った。

この発売では、予約済みの受け取りと当日販売の在庫が店舗ごとに分かれた。外見上は同じ列でも、前者は確保済み商品を受け取る順番、後者は在庫が自分まで残るか分からない順番である。製品の特徴が場所を切り替えて遊べることだったのに対し、購入者の移動は店側の番号札と販売方法に制御された。

任天堂は初年度末までに274万台を世界へ出荷したが、需要に生産が追いつかない状態は数か月続いた。発売日の列は一日だけの宣伝風景ではなく、その後の抽選販売や再入荷通知へ続く不足の最初の形だった。どこでも遊べる機械への入口は、どの店で、どの枠に、何番で並ぶかという場所に強く縛られていた。

同梱された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』への期待も需要を押し上げたが、本体がなければ遊べない。ソフトが十分あっても、ハードウェアの生産台数が購入者数の上限になる。列はゲーム作品への人気と、半導体や組立、輸送が決める物理的供給の境目にできた。