革命後のニカラグアでは、1980年代初めに食料不足と買い占めが深刻化し、砂糖、米、食用油、石けんなどへ段階的に配給カードが導入された。雑誌『Envío』は、商品を求める列と、政府がカード制度を拡大した時期を記録している。一枚のカードは万能券ではなく、入荷した品目ごとに別の待機を生んだ。
配給は家族数に応じて限られた品を広く渡す試みだったが、流通の遅れや地域差を消すことはできない。店に何が届いたかを聞きつけ、カードを持って並び、順番が来る前に在庫が尽きることもある。列は不足を管理する制度であると同時に、不足の規模を毎日見せる掲示板になった。
カードに印を付ければ、同じ人の重複購入は防げる。しかし次の入荷日は印刷できない。制度が公平を設計しても、待つ時間は家庭ごとに同じ価値ではなかった。配給の列は、商品を分けるだけでなく、欠乏の負担を時間として各家庭へ配った。
配給カードは不足をなくさず、誰が何を受け取れるかを商品別に記録した。米の順番を終えても油や石けんの順番は残り、一枚のカードが暮らしを複数の列へ分解した。
