統一後のベトナムで「包給時代(thời bao cấp)」と呼ばれる配給経済の時期、買い物は財布だけでは決まらなかった。VietNamNetの回想記事は、人々が配給票を持って食料を買う列に並んだことを記録している。この制度は1975年以後から、経済改革ドイモイが始まる1986年ごろまでの日常を形づくった。
配給票には、世帯や職場に応じて購入できる米、肉、布などの種類と量が結びついていた。品物が届く時間や量は一定とは限らず、人々は列に石や籠を置いて順番を示すこともあった。列に並ぶ技術は、物を買う方法であると同時に、家族の食事と仕事の時間をやりくりする生活知だった。
後年の博物館や回想記事に残る票券は小さな紙片だが、それが決めていたのは食卓の中身だけではない。いつ店へ行き、誰が待ち、何を諦めるか。配給の列は、政策が一日の時間割にまで入り込む様子を伝えている。
